※こちらの記事は令和3年12月10日に情報を更新いたしました※

病院と薬

「発達障害」と一口に言っても、自閉症スペクトラム障害(ASD)やアスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害、吃音(症)など様々な分類があります。

”生きづらさ”により、日常生活や仕事に支障が生じることも多く、障害年金を請求なさる方も増えているように感じます。

この記事では、発達障害の場合にどのような状態の方が障害年金をもらえるのかについて詳しく解説していきます。

障害年金を受給するための3つの条件

障害年金を受給するためには、重要な3つの条件があります。

ひとつひとつを確認していきましょう。

要件①初診日を証明できるか?(初診日要件)

発達障害と関連する症状で初めて医療機関に受診した日(「初診日」といいます)を証明する必要があります。

証明には、医師が作る証明書類等の資料が必要になります。

また、初診日の時点で、次の(1)~(3)のいずれかに該当している必要があります。

(1)被保険者である方(国民年金or厚生年金)

(2)20歳未満である方

(3)60歳以上65歳未満で次のすべてを満たす方

 ・国民年金の被保険者であった方

 ・日本国内に住所がある方

 ・老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない方

※初診日の詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

~発達障害の初診日には注意が必要です~

ⅰ.発達障害の初診日の考え方

発達障害の初診日は、知的障害を伴っているかどうかで変わってきます。

知的障害を伴っている発達障害の初診日は「生まれた日」です。

知的障害を伴わない発達障害の初診日は「初めて受診した日」です。

ⅱ.発達障害以前に精神疾患の診断を受けている場合

発達障害で障害年金を申請する方の中には、発達障害の診断より先に精神疾患の診断を受けている方も少なくありません。

このような場合、精神疾患と発達障害が同一傷病と判断されて「精神疾患の初診日=発達障害の初診日」と判断される場合がほとんどです。

そのため、精神疾患で医療機関を転々とした後に発達障害が判明したという方は、精神疾患で初めて医療機関に受診した日を証明できるかどうかがネックになります。

カルテの保管義務期間は5年間です。精神疾患の初診日から5年を経過している場合には、初診日の証明ができない可能性も高くなります。初診日の証明ができない場合には、障害年金を請求できない可能性が高くなってしまいますので、注意が必要です。

要件②年金保険料(保険料納付要件)

初診日の前日の時点で、以下の(1)~(2)のいずれかに当てはまることが必要です。

但し、初診日の時点で20歳未満の方は納付要件を問われません。

(1)20歳から初診日のある月の前々月までの期間のうち、3分の2以上の年金保険料を納めていること

(2)初診日のある月の前々月までの1年間に年金保険料の未納がないこと

※保険料納付要件の図を使った解説はこちらの記事をご覧ください。

要件③障害が国の基準に該当するか?(障害状態要件)

初診日から1年6ヶ月が経過した日(「障害認定日」といいます。)から65歳のお誕生日の前々日までに、国が定める基準に当てはまることが必要です。

では、国が定める発達障害の基準を確認します。

ちなみに、3級は初診日の時点で厚生年金に加入されていた方のみが対象となりますので注意が必要です。

障害の程度

障害の状態

1級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

2級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

3級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

等級は、主治医が診断書に記載する「疾病による症状」や「日常生活能力」、「労働能力」等によって総合的に判断されます。

そのため、日頃から主治医に「自身の生活実態、労働の状況、病状などをどれだけきちんと伝えられているか」がとても重要になります。

等級判定ガイドライン

自身が障害年金を受給できるかどうかを自己診断する目安として「精神の障害にかかる等級判定ガイドライン」(全文はこちら)が役に立ちます。

こちらは、平成28年9月以降の審査で実際に使用されている等級の目安です。

但し、審査では生活や就労の状況、治療内容、病態の経過などにより総合的に審査されるため、必ずしもこちらの表通りの等級になるわけではありません。

あくまでも等級の目安であることをご理解ください。

 ※障害基礎年金の場合は、「3級」を「2級非該当」に置き換え

<表の見方>

①横軸の「程度」は、診断書の裏面右上にある「日常生活能力の程度」の5段階評価を指しています。

日常生活能力の程度

②縦軸の「判定平均」は診断書の裏面左上にある「日常生活能力の判定」の4段階評価を軽い方から1〜4の数値に置き換え、その平均を算出したものです。

働くことと障害年金について

初診日の時点で厚生年金に加入していた方は障害厚生年金の対象となりますので、仕事をしている場合でも制限付きの仕事であれば3級に該当する可能性があります。

ここでいう「制限」とは、一般企業での障害者雇用や就労支援事業所でのお仕事など会社からの配慮の中で行う仕事が当てはまります。

しかし、初診日の時点で国民年金に加入していた方は障害基礎年金の対象となりますので、2級以上に該当しないと障害年金をもらうことができません。そのため、お仕事をしていると障害年金をもらうことが難しくなります。

ただし、必ずしも仕事をしているから障害年金を受給できないというわけではありません。

基準には”労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するととともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分に確認した上で日常生活能力を判断する”と書かれています。

また、等級判定ガイドラインの中にも以下のような記載があるため、障害基礎年金対象の方が就労中であっても、就労の内容次第では年金を受給できる可能性はあるのです。

”就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級又は2級の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする。”

”障害者雇用制度をりようしない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討する。”

”一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。”

”一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、執着が強く、臨機応変な対応が困難であること等により、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。”

”一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。”

ですから、就労中の方が障害年金の請求手続きをする場合、普段から自身の就労内容や職場で受けている援助の内容等を主治医にきちんと伝えておくことが重要です。

まとめ

○発達障害で障害年金を申請をする場合、発達障害により日常生活や仕事がどのくらい制限されているのかという点を審査されます。

○審査では医師に作成してもらう診断書が非常に重要視されますので、普段の診察からご自身の生活状況について医師に伝えておくことが大切です。

○仕事をしている場合には、会社から受けている配慮や仕事上で制限していること等についても医師に伝えておくことが大切です。

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執筆者プロフィール

玉置 伸哉(社会保険労務士)

1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。
アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。

札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。

2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。

2019年2月、TAMA社労士事務所を開業。

障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求に関するご相談・申請代行を行っております。

また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。

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