※こちらの記事は令和1年7月5日に大幅に情報を追加いたしました※

精神疾患の認定基準と等級判定ガイドライン

パワハラ・セクハラ等のハラスメントや長時間労働等が原因でストレスをため込んでしまったり、人間関係のトラブル等から精神的な疾患を発症する方は年々増えています。

精神の障害を患ってしまい、日常生活を送る上で支障が出てしまったり、仕事ができなくなってしまったりした場合に、障害年金を受給できる可能性があります。

こちらの記事では、精神の障害の場合、どのような状態になったときに障害年金を受給できるのかについて、「障害状態要件」を解説していきます。

<まずはおさらい>障害年金受給の3つの条件

(おさらいを飛ばす場合にはこちらをクリック

障害年金を受給するためには、重要な3つの条件があります。

要件①初診日において被保険者であること(初診日要件)

その障害の初診日において、国民年金、厚生年金、旧共済年金の被保険者であることが条件になります。

 国民年金・・・20〜60歳の国民年金被保険者(60〜64歳は国内在住の方が対象)

 厚生年金・・・社会保険加入者の方 

<誤解の多いポイント>

※厚生年金の扶養に入られている方(3号被保険者)は(厚生年金の対象ではなく)「国民年金の被保険者」です。

初診日が20歳未満時点の方は「国民年金の被保険者」として扱われ、20歳到達後にお手続きを行います。

また、その初診日を医療機関から発行される書類等を用いて証明できることも条件となります。

ですから、初診日が古い場合には、カルテやデータの廃棄により証明をしてもらえない場合もあります。そのような場合には、最悪の場合、障害年金を受給できなくなってしまいます。このような事態に陥らないためにはどうすれば良いかに関してはこちらの記事からご確認ください。

初診日で決まること

併せて、初診日にどの制度(国民年金、厚生年金、共済年金)に加入していたかによって、対象となる障害年金制度が異なり、これに伴って支給される障害の程度や金額(金額の確認はこちらから)に差が生まれます。

初診日に国民年金加入の方

・・・

障害基礎年金の対象となり、1級又は2級のいずれかに該当しないと障害年金は支給されません。

初診日に厚生年金加入または共済年金加入の方

・・・

障害厚生(共済)年金の対象となります。

1級、2級に加えて、3級が存在します。また、3級の状態で症状が固定している場合には、障害手当金(一時金)が支給される場合もあります。

障害厚生(共済)年金には3級が存在するため、障害基礎年金の方であれば障害年金を受給できない程度の障害状態でも、障害年金を受給できる可能性があります。

要件②初診日の前日までに年金保険料を一定以上納付していること(保険料納付要件)

障害の初診日の前日において、20歳から初診日のある月の前々月までの全期間のうち3分の2以上を納付または免除していることが必要になります。

これを満たさない場合は、初診日の前々月から前1年間に未納がないことが条件になります。(令和8年3月31日まで有効)

※初診日が20歳未満の方は、納付要件は問われません。(詳しくはこちらの記事でご確認ください。)

保険料納付要件の確認において「納付が1か月」とカウントされるためには、初診日の前日までに保険料を納める必要があります。また、免除に関しても、初診日の前日までに保険料の納付免除申請を行っている必要があります。

これは、これまで保険料をきちんと納付してこなかった方が、けがや病気が原因で初めて病院にかかった人が「納付要件を満たせる分の保険料だけ支払おう」というズルいことをできなくするために決められています。

自身の納付状況に関して確認したい場合は、お近くの年金事務所で確認できます。

また、保険料納付要件についてもう少し詳しく確認したい場合にはこちらの記事をご覧ください。

要件③障害の状態が障害認定基準に該当していること(障害状態要件)

初診日から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)もしくは、それ以降の障害年金請求日において、国が定める障害認定基準に該当することが条件になります。

 

こちらの記事では、精神の障害の場合には、どのような状態になったときに障害年金がもらえるのか(障害状態要件)について解説していきます。

障害年金を受給できる状態とは~障害認定基準~

精神の障害の認定基準は、精神の障害の原因や諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するとされています。

精神の障害は、たくさんの種類があり、症状は同一原因であっても多様であるため、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断され、その原因や経過も考慮されます。

障害の程度

page1image3770768192障害の状態page1image3729496352

1級

精神の障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

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精神の障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

(初診日の時点で厚生年金に加入していた方のみが対象)

障害手当金

労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

(初診日の時点で厚生年金に加入していた方のみが対象)

等級判定ガイドライン

平成28年9月からは「精神の障害にかかる等級判定ガイドライン」(全文はこちら)が審査に適用されています。

ただし、あくまでも精神の障害の原因や症状、治療や病態の経過などを総合的に判断されるため、必ずしもこちらの表通りの等級になるわけではありません。

※こちらにある「(日常生活能力の)判定」「(日常生活能力の)程度」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

<表の見方>(診断書の様式はこちら

①横軸の「程度」は、診断書の裏面右上にある「日常生活能力の程度」の5段階評価を指しています。

日常生活能力の程度

②縦軸の「判定平均」は診断書裏面左上にある「日常生活能力の判定」の4段階評価を軽い方から1〜4の数値に置き換え、その平均を算出したものです。

③障害基礎年金の場合は、「3級」を「2級非該当」に置き換えて考えます。

<留意事項>

障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、ここの等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること、が記載されています。

精神障害での認定の難しさ

精神障害で障害年金を請求する場合の難しい点は、同じ病名を診断されていても人それぞれに症状の程度や日常生活・就労への影響の大きさが違ってくることにあると思います。

「等級判定ガイドライン」により、「程度」と「判定平均」という2つの数値を使うことで定量的に審査がされるようになりました。

しかし、留意事項にもある通り、あくまでも「程度」と「判定平均」の数値だけをもとに等級が決まるわけではなく、診断書の内容をもとに総合的に審査が行われますので、上の表で同じ枠に該当する場合でも、ある人は障害年金がもらえて、他のある人は障害年金がもらえない、といったことも起こり得るのです。

特に「1級または2級」や「2級または3級」の枠に該当する方は、診断書を総合的に判断して、どちらの等級にふさわしいかを審査されますので、数値以外の診断書の部分も非常に重要になってきます。

精神の障害で申請するときに注意してほしいポイント

障害年金の申請には原則、以下の書類の提出が必要となります。

ⅰ.初めてかかった医療機関が作成する初診日の証明書類(受診状況等証明書)

ⅱ.医師が作成する診断書

ⅲ.請求者自身が作る病歴就労状況等申立書

書類作成の際に、覚えておいて頂きたいポイントを挙げていきます。

①初診日はとにかく大切!

障害年金を申請するときに重要となる3つの条件中の1つに「初診日」があります。(3つの条件の確認はこちらから)

初診日が証明できない場合、障害年金を受給できる可能性は大きく下がってしまいます。

精神の障害で障害年金を申請しようとする時に、高い確率でネックになるのが「初診日」です。

この「初診日」に関しては、特に気を付けてほしいポイントが2つあります。

①-1 カルテの保管義務は原則5年

精神の障害でご相談を頂く際に、「医療機関をいくつか転々とした」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

中には、10件近くの医療機関を転々として現在の主治医に行きついたという方もいらっしゃいました。

このような場合で、初めて医療機関にかかった日から5年以上経過している場合、注意が必要です。

障害年金の申請に使用する初診日の証明書類(受診状況等証明書)は原則、カルテをもとに作成してもらうことになっています。

もし、初診日に該当する医療機関がカルテの保管義務期間である5年を契機にカルテを廃棄していたら、初診日の証明をしてもらうことは非常に難しくなってしまいます。

医療機関を転々とされている場合には、できる限り早い段階で初診の医療機関から証明書類を取得しておいたり、カルテの廃棄をしないでもらえるよう医療機関に相談しておいたり(必ずOKしてもらえるとは限りません)、といった対策を行っておくとよいでしょう。

①-2 それ本当に初診日ですか?(初診日の考え方)

初診日とは「障害の原因となった傷病につき、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」とされています。

例えば、脳梗塞を起こし後遺症として半身麻痺になってしまった場合、半身麻痺の原因となったのは脳梗塞であることは明らかです。この場合、脳梗塞と半身麻痺とは「相当因果関係がある」と判断され、2つは同一の傷病として扱われます。

ですので、「脳梗塞の初診日=半身麻痺の初診日」となります。

 

では、「うつ病」で障害年金の申請を考えている方のパターンを見ていきます。

病歴は次のようなものです。

平成25年1月 A内科に受診。「不眠症、頭痛」と診断。

平成25年6月 B精神科に受診。「うつ病」と診断。

平成30年1月 C精神科に受診。「うつ病」の治療を継続。

令和  1年7月 障害年金の申請手続き中

この場合の初診日はいつになるでしょうか?

B精神科に初診の証明書類を作成頂こうと考える方も少なくないと思います。

こちらのケースの場合、A内科に受診した段階で「うつ病」と相当因果関係がありそうな症状が出ています。

(不眠症や頭痛は「うつ病」によるものだった可能性が考えられるということです。)

ですので、診断書を作成してくれる医師に確認をし、A内科受診時の「不眠症、頭痛」と現在の「うつ病」との相当因果関係を判断していただく必要があります。

医師の判断によって、初診日も変わってきます。

・因果関係あり→A内科が初診日になる可能性が高い

・因果関係なし→B精神科が初診日になる可能性が高い

 

こちらのケースのように、不眠や頭痛が表れた時にいきなり精神科に受診せず、まずは内科に受診するというケースは多くあります。

このようなケースに当てはまる方は、初診日の特定に注意が必要です。

②日常生活の困りごとや支障を普段から主治医に伝えておく!

精神の障害で障害年金を申請する場合、日常生活や労働にどれほどの支障や制限をきたしているかという点が審査で重視されます。

上記で解説した「等級判定ガイドライン」においても、食事や清潔保持、金銭管理などの能力を数値化し、等級判定の重要な判断材料として使用しているのがわかります。

しかしながら、医師は常に患者さんと一緒に生活をしてその生活状況を見ているわけではありませんので、食事をきちんととれているのか、お風呂にきちんと入っているのか、金銭管理はきちんとできているのか、などの日常生活能力については、患者さんご本人が医師に正確に伝えていく必要があります。

もし、コミュニケーションが苦手でうまく話せない等でお困りであれば、家族同行で受診をしたり、日常生活で困ったことをメモしておいて医師に渡したり、という手段できちんと伝えておくことが大切です。

ただし、真実だけを伝えること。この点は必ず守ってください。お願いいたします。

③病歴就労状況等申立書はしっかりと書く

状況等申立書を作成するときに、私が個人的に大切にしているポイントを挙げていきたいと思います。

ⅰ.診療の内容は詳細に書く。

診療の内容を詳細に記載します。

通院頻度や受けている治療(服薬、カウンセリング、その他療法など)について詳しく書くとよいでしょう。

ⅱ.日常生活における支障・困っていることを詳細に書く。

精神の障害により、日常生活上どのようなことで困っているのか、仕事上どのようなことで困っているのか、等支障を詳しく記載すると良いでしょう。

また、家族や同僚などからサポートを受けているのであれば、その内容や頻度などを書くことも大切です。

また、障害者雇用や就労支援で仕事上の配慮(短時間勤務、簡易業務への転換など)を受けているようであれば、その点も書くと良いと思います。

ⅲ.最も重要なのは診断書との整合性

最後に最も重要なこと。それは、診断書との整合性です。

たとえば、診断書の中で記載のない症状について、病歴就労状況等申立書の中に記載を行ったとしても、その内容は、おそらく審査には反映されないでしょう。

ですから、診断書の内容と病歴就労状況等申立書の内容を照らし合わせて、しっかりと確認する必要があります。

実際に日常生活に起こっている支障と診断書の記載内容との間に相違がある場合には、診断書を作成した医師に相談する等の対応が必要になるでしょう。

最後に

この記事では、精神の障害による障害年金手続きについて、ポイントを解説しました。

もしこちらをお読みいただき「自分の場合はどうだろう?」「初診日が特定できないけどどうしたらいいのか?」など、疑問やお困りごとがございましたら、ぜひ一度、北海道障害年金相談センターにご相談いただければと思います。

初回のご相談(30分)は無料です。

また、着手金1万円、医療機関に支払う診断書等の作成料(実費)、住民票等の取得料金(実費)以外は成功報酬制(ご相談者様が障害年金を受給できた場合のみ料金が発生する形)になっています。

安心してご相談ください。

初回の相談は無料です。

電話でのお問い合わせはこちらメールでのお問い合わせはこちら

※病院同行や年金事務所での手続き等による外出が多いため、メールでのお問い合わせがオススメです。

執筆者プロフィール

玉置 伸哉(社会保険労務士)

1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。

アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。

札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。

2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。

2019年2月、北海道障害年金相談センター開設。(TAMA社労士事務所開業)

障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。

また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。

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