障害年金を受給できる状態とは(肢体障害の場合)
障害年金を受給する条件の一つに「障害状態要件」がありました。(→障害年金受給の3つの条件)
では、肢体の障害の場合には、どのような状態になったときに障害年金がもらえるのかを見ていきます。
「国民年金・厚生年金 障害認定基準」(全文はこちら)に書かれている肢体の障害の基準を簡略的に書くと以下のようになります。
障害の程度 | |
1級 | 身体の機能障害もしくは長期の安静が必要な病状により、日常生活の用を弁ずることが不能である状態 (例示:一上肢および一下肢の用を全く廃したもの) |
2級 | 身体の機能障害もしくは長期の安静が必要な病状により、日常生活に著しい制限ある状態 (例示:一上肢および一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの) |
3級 |
(例示:一上肢および一下肢に機能障害を残すもの) |
障害手当金 | 労働に制限がある状態 (例示:一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの) |
※症状が固定していない「障害手当金相当の状態」は3級の障害厚生年金の対象となります。
もくじ
どのような傷病が該当するのか
肢体の障害で申請するのはどのような傷病でしょうか?
すぐに思い浮かぶものしては、交通事故などで負ったケガの後遺症があります。
また、外傷だけではなく、脳血管疾患や脊椎損傷などによる身体機能の障害は、原則として肢体の障害として障害年金を請求することになります。
それら以外にも、線維筋痛症や筋ジストロフィー、パーキンソン病、関節リウマチ、痙性対麻痺なども対象となります。
肢体の障害の認定日
障害年金を請求する際には「初診日から1年6か月経過していること」が条件となります。
この1年6か月経過した日を障害認定日と呼ぶのですが、肢体の障害の場合、この障害認定日について特例があります。
●脳血管疾患の場合
認定要領には以下のように書かれています。
「脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6月経過した日以後に、医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき」は、 1年6月を経過した日以前であっても障害認定日として取り扱う |
ここで重要になるのは「医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めない」という点です。いわゆる「症状固定」の状態で「良くも悪くもならない状態」を表しています。
そのため、機能回復のためのリハビリを行っている場合には、まず認められません。
回復ではなく、機能維持のためのリハビリであれば過去に認められたケースもありますが、あくまで個々の事例ごとに審査が行われますので、必ず認められるとは限りません。
●人工関節、人工骨頭へ置換した場合
初診日から1年6か月が経過するまでの間に、人工関節や人工骨頭への置換手術を受けた場合、その手術日が障害認定日となり、障害年金の請求が可能となります。
●身体の一部を離断した場合
身体の一部を離断した場合、その離断してしまった日が障害認定日となります。
人工関節、人工骨頭は3級(になる可能性が高い)
人工関節や人工骨頭の置換術を受けた方は、3級相当として認定されます。
一下肢の 3 大関節中 1 関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の 3 大関節中 1 関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは 3 級と認定する。 |
また、人工関節や人工骨頭が入っていても、なお肢体機能の用を廃していたり相当程度の機能障害が残っている場合には上位等級に該当することもあります。
ただし、人工関節や人工骨頭の置換が必要となるのは、初診日から長い年月を経た時であるため、初診日の証明ができるかどうかがネックになる点にご注頂ければと思います。
肢体障害の障害年金と就労
よくある質問として「仕事に就いたら、年金は停まりますか?」というものがあります。
肢体の障害については、ほとんどの場合が障害年金は停止にはならず受給し続けることができます。
まとめ
こちらの記事をお読みいただき「自分の場合は受給できるだろうか?」「こんな場合はどうなるの?」等思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度TAMA社労士事務所へご相談ください。
初回の相談は無料です。お気軽にご相談ください。