けがや病気で仕事ができない状態になり、経済的にひっ迫してしまった時に利用できる補償として障害年金の他に、生活保護があります。
どちらも生活がひっ迫している時の補償として、欠かせない制度だと思います。
では、障害年金と生活保護の受給できる期間が重複した場合、障害年金と生活保護は両方を同時に満額もらえるのでしょうか?
よくいただく質問ですので、この点について書いていきます。
※生活保護制度に関する具体的なご相談は、市区町村の生活保護担当部署にご連絡ください。
もくじ
生活保護制度とは
持っている資産や働くための能力等すべてを活用してもなお生活に困窮してしまう方に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。
重複した期間は生活保護が減額
では、両方を受給できる場合、どのようになるのか?
答えは、生活保護が障害年金の金額分減額となります。
一時金である障害手当金を受給した場合には、一度生活保護の対象から外れます。
障害手当金で生活を送っていただき、再度生活保護の対象となった場合には、生活保護費が支給されます。
忘れてはいけないのはさかのぼって障害年金を受給した場合。
過去に生活保護を受給していた期間と、さかのぼって障害年金を受給することが決定した期間が重複する場合、障害年金をその当時に受給していたとしたら、支給する必要のなかった生活保護費を返還しなくてはなりません。
返還額は、さかのぼって受給した障害年金の額が限度となります。
※障害年金受給後、返還額が通知されます。通知されるまでに使ってしまわないよう注意が必要です。
生活保護を受給中なら障害年金を請求する必要はない?
答えはNOです。
この内容をお読みになった生活保護を受給中の方で「どうせ生活保護費が減額になるなら、障害年金の請求はしなくていいや」と思われた方もいるかもしれません。
ですが、生活保護受給中に障害年金の受給権を得ておくメリットはあります。
①生活保護の障害者加算
障害年金の1級・2級に該当した場合、生活保護費の金額に障害者加算が付きます。
金額は、地域ごと、障害年金の等級によっても違いますので該当するかもしれない方は、ケースワーカーに確認してみることをお勧めいたします。
支給には申請が必要で、申請を行った以降しかこの加算は付きませんので注意が必要です。
②生活保護が終了しても障害年金は受給できる
生活保護を受給している方が、生活保護の基準以上の収入を得られるようになった場合、生活保護が終了します。
この時、障害年金の受給権を持っていた場合、収入があっても障害年金の受給は続けることができます。
また、障害年金は原則64歳までしか請求できません。
生活保護受給中の方が64歳までに障害年金を請求しておけば、65歳以降に生活保護の基準以上の収入を得た場合、生活保護費は受けることができませんが障害年金を受けることができます。
ですので、生活保護受給中に障害年金の請求を行っても意味がないということは決してないのです。
「生活保護中に障害年金を請求するべきか?」という話の最後にもう一点、知っておいてほしいことがあります。
生活保護は「他法優先」という考え方があり、他の制度を利用してもなお生活に困窮する場合に制度を利用することになっています。
ですので、障害年金の対象となる場合には、まず障害年金を受給した上で不足分を生活保護から受給する形が望ましいのです。
もちろん最低限度の生活を成り立たせることが目的ですから、まずは生活保護を利用し、後追いで障害年金を請求→受給した障害年金で生活保護費を返還する、という形でも問題ないと思いますので、早めにお住いの市区町村に相談することをお勧めいたします。
最後に
障害年金を含め、障害を負った時に受けられる補償の制度はいくつか存在します。
でも、必要以上に手厚くにならないように、目的が重複するものはうまく調整されるように作られています。
それぞれの制度が、どういう時に支給されて、どういう時に支給されないのか、どの制度と調整されるのかを確認しておく必要があります。
「自分の場合はどうだろう?」「どのようにやれば良いだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
初回のご相談は無料です。
また、着手金1万円、医療機関に支払う診断書等の作成料(実費)、住民票等の取得料金(実費)以外は成功報酬制(ご相談者様が障害年金を受給できた場合のみ料金が発生する形)になっています。
安心してご相談ください。
初回の相談は無料です。 |
執筆者プロフィール
1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。 アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。 札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。 2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。 2019年2月、北海道障害年金相談センター開設。(TAMA社労士事務所開業) 障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。 また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。 |