知的障害で障害年金を受給できる状態とは

自分の場合は?

知的障害が障害年金の対象になることはご存じでしょうか?

こちらの記事では知的障害の場合、どのような状態になったときに障害年金を受給できるのかを示した「障害認定基準」や手続をするときの注意点について解説していきます。

<まずはおさらい>障害年金受給の3つの条件

(おさらいを飛ばす場合にはこちらをクリック

障害年金を受給するためには、重要な3つの条件があります。

要件①初診日において被保険者であること(初診日要件)

その障害の初診日において、国民年金、厚生年金、旧共済年金の被保険者であることが条件になります。

知的障害の場合、初診日は生まれた日とされます。

そのため、初診日の証明は原則不要です。

要件②初診日の前日までに年金保険料を一定以上納付していること(保険料納付要件)

障害年金をもらうためには本来、一定期間以上の年金保険料を納めていることが条件となりますが、知的障害の場合には生まれた日が初診日となりますので、納付要件は問われません。

要件③障害の状態が障害認定基準に該当していること(障害状態要件)

知的障害の場合、生まれた日が初診日として扱われます。

そのため必ず20歳前障害として扱われるため、請求権は20歳の誕生日の前日(障害認定日)に発生します。

 

ここからはこちらの記事の本題に入って、知的障害の場合はどのような状態で障害年金を受給することができるのか、手続をするときはどのような点に注意が必要かについて解説していきます。

障害年金を受給できる状態とは~障害認定基準~

対象となる知的障害は「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に持続的な支障が生じているために、特別な援助を必要とする状態にあるもの」とされています。

各等級に該当する粗油外の状態は以下のような例が示されています。

障害の程度

page1image3770768192障害の状態page1image3729496352

1級

知的の障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするのもの

2級

page1image3770773744知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

3級

知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

(初診日の時点で厚生年金に加入していた方のみが対象)

等級判定ガイドライン

平成28年9月からは「精神の障害にかかる等級判定ガイドライン」(全文はこちら)が審査に適用されています。

ただし、あくまでも知的障害の症状や周囲からの援助の程度などを総合的に判断されるため、必ずしもこちらの表通りの等級になるわけではありません。

※こちらにある「(日常生活能力の)判定」「(日常生活能力の)程度」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

<表の見方>(診断書の様式はこちら

①横軸の「程度」は、診断書の裏面右上にある「日常生活能力の程度」の5段階評価を指しています。

日常生活能力の程度(知的障害)

②縦軸の「判定平均」は診断書裏面左上にある「日常生活能力の判定」の4段階評価を軽い方から1〜4の数値に置き換え、その平均を算出したものです。

③障害基礎年金の場合は、「3級」を「2級非該当」に置き換えて考えます。

<留意事項>

障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、ここの等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること、が記載されています。

療育手帳の等級や知能指数との関係

等級判定ガイドラインにはそれぞれ以下のように書かれています。

<療育手帳の等級>

「療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級又は2級の可能性を検討する。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討する。」

<知能指数>

「知能指数を考慮する。ただし、知能指数のみに着眼することはなく、日常生活の様々な場面における援助の必要度を考慮する。」

 

これらの記載からいずれも障害年金の審査の上で考慮される要素であることがわかります。

しかしながら、療育手帳の等級や知能指数によって障害年金の等級が決まるわけではないこともわかります。

ですから、たとえ療育手帳の等級が軽度であったり、知能指数がおおむね50以上であっても、障害年金を受給できる可能性は十分にあると考えることができます。

 

知的障害で申請するときの注意点

①請求時期は20歳になった時

知的障害で障害年金を申請する場合、生まれた日が初診日になります。

20歳前障害として扱われるため、障害年金の請求権が発生するのは20歳のお誕生日の前日となります。

ですから知的障害がある場合には、20歳になったら障害年金の申請を行ってみることをお勧めいたします。

②初診日の証明は不要!

知的障害で障害年金を申請する場合、生まれた日が初診日になります。

そのため初診日を証明する必要はありません。

③日常生活の困りごとや支障を普段から主治医に伝えておく!

知的障害で障害年金を申請する場合、知能指数だけで審査されるのではなく、日常生活における援助の必要性を総合的に勘案して審査が行われます。

そのため、日常生活を送る上で家族や友人等の周りの人からどんな場面でどのような援助を受けているのか、また、単身の場合にはどのような場面で困難を感じているのか等をしっかりと診断書に記載してもらう必要があります。

ですから、日ごろからしっかりと医師に生活状況を伝えておくと良いでしょう。

自身で伝えるのが難しければ、診察の場に家族が同席したり、紙にメモをして医師に渡すなどの方法も有効な手段だと思います。

ただし、真実だけを伝えること。この点は必ず守ってください。お願いいたします。

④病歴就労状況等申立書はしっかりと書く

状況等申立書を作成するときに、私が個人的に大切にしているポイントを挙げていきたいと思います。

ⅰ.病歴就労状況等申立書は0歳から書く。

知的障害の場合、生まれた日が初診日となるため、病歴就労状況等申立書は0歳から記載します。

0歳から幼稚園入園前まで、幼稚園、小学校、中学校、高校・・・、とおおむね3~5年ごとに分けて記載していきます。

(3~5年ごとの記載となりますので、小学校は1~3年生と4~6年生の2段に分けて記載すると良いでしょう。)

ⅱ.日常生活における支障・困っていることを詳細に書く。

知的の障害により、日常生活上どのようなことで困っているのかを詳しく記載すると良いでしょう。

家族や友人などからサポートを受けているのであれば、その内容や頻度などを書くことも大切です。

また、0歳から記入することになりますので、就学時の様子(学習の遅れや不登校、支援学級での支援の内容など)や友達とのコミュニケーションの状況など、知的障害による支障があれば詳しく記載するのが良いでしょう。

就労している場合には、仕事上の配慮(短時間勤務、簡易業務への転換など)を受けているようであれば、その点も書くと良いと思います。

ⅲ.最も重要なのは診断書との整合性

最後に最も重要なこと。それは、診断書との整合性です。

たとえば、診断書の中で記載のない症状について、病歴就労状況等申立書の中に記載を行ったとしても、その内容は、おそらく審査には反映されないでしょう。

ですから、診断書の内容と病歴就労状況等申立書の内容を照らし合わせて、しっかりと確認する必要があります。

実際に日常生活に起こっている支障と診断書の記載内容との間に相違がある場合には、診断書を作成した医師に相談する等の対応が必要になるでしょう。

⑤所得制限に注意

通常、障害年金に所得制限はありません。しかしながら、20歳前障害による障害年金の場合には保険料納付要件が問われない代わりに、所得による制限があるため注意が必要です。

支給停止に該当した場合には、その年の8月から翌年7月までの1年間、支給停止が適用されます。

受給者の年間所得障害年金
360万4000円未満全額支給されます
360万4000円以上1/2が支給停止になります
462万1000円以上全額支給停止になります

※所得とは収入額からその収入を得るためにかかった必要経費と諸控除を除いた金額を言います。その金額は所得証明書等で確認することができます。

扶養家族がいる方は、上記の額に扶養家族1人につき38万円をプラスした額が所得制限額になります。

※70歳以上の老人扶養親族がいる場合には1人につき48万円。16歳以上23歳未満の特定扶養親族がいる場合は1人につき63万円がプラスされます。

 

最後に

この記事では、知的障害による障害年金手続きについて、ポイントを解説しました。

もしこちらをお読みいただき「自分の場合はどうだろう?」「初診日が特定できないけどどうしたらいいのか?」など、疑問やお困りごとがございましたら、ぜひ一度、TAMA社労士事務所にご相談いただければと思います。

初回のご相談(30分)は無料です。

また、着手金1万円、医療機関に支払う診断書等の作成料(実費)、住民票等の取得料金(実費)以外は成功報酬制(ご相談者様が障害年金を受給できた場合のみ料金が発生する形)になっています。

安心してご相談ください。

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執筆者プロフィール

玉置 伸哉(社会保険労務士)

1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。

アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。

札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。

2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。

2019年2月、TAMA社労士事務所を開業。

障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。

また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。

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