障害年金を受給できる状態とは(眼の障害の場合)

令和4年1月1日に、眼の障害認定基準が改定されます。視力の障害、視野の障害ともに大きく変わります。

改正後の基準については以下のページで解説をしておりますので、併せてご確認頂けますようお願い致します。

→「令和4年1月1日の眼の障害認定基準の改正について専門家が解説します」

眼の障害障害年金を受給する条件の一つに「障害状態要件」がありました。(→障害年金受給の3つの条件

では、眼の障害の場合には、どのような状態になったときに障害年金がもらえるのかを見ていきます。

「国民年金・厚生年金 障害認定基準」(全文はこちら)には以下のように書かれています。

障害認定基準

眼の障害の認定基準については、次の3つに分けてご説明します。

①視力の障害

②視野の障害

③目に関するその他の障害

①視力の障害の認定基準

原則として、矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズ、眼内レンズを使用した状態)で計測します。

例外的に、以下の場合は裸眼で計測します。

・矯正不能の場合

・矯正に耐えられない場合

・不等像視(矯正をすると左右の眼でものの大きさや形が違って見えてしまう状態)で両眼で物を見ることが困難であると医学的に認められている場合

障害の程度障害の状態
1級両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
3級両眼の視力が0.1以下に減じたもの
障害手当金両眼の視力が0.6以下に減じたもの
一眼の視力が0.1以下に減じたもの

※「視力の和」とはそれぞれの視力を別々に測定し、それぞれの測定値を合算したものを言います。

②視野の障害の認定基準

視野の測定は「ゴールドマン視野計」および「自動視野計」により計測します。

障害の程度障害の状態
2級

求心性視野狭窄または輪状暗転があって、次のいずれかに該当するもの

(ア)1/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの

(イ)両目の視野がそれぞれ1/4の視標で中心10度以内に収まるもので、かつ、1/2の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以下のもの

(左右別々に8方向の残存視野の角度を求め、いずれか大きい方の合計が56度以下)

ゴールドマン視野系の1/4の視標での測定が不能の場合は、求心性視野狭窄の症状を有していること。
障害手当金両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
両眼の視野が10度以内のもの

※求心性視野狭窄は、網膜色素変性症や緑内障などにより、視野の周辺部分から欠損が始まり見えない部分が中心部に向かって進行するもの。

③目に関するその他の障害の認定基準

視力や視野だけではなく、眼球やまぶたの運動機能、瞳孔の障害も認定基準が用意されています。

すべて一時金である「障害手当金」の対象ですので、初診日が厚生年金加入中の方のみが対象となります。

障害の程度障害の状態
障害手当金両眼のまぶたを閉じても角膜を完全に覆うことが出来ないもの
両眼の調節機能および輻輳機能の障害により、複視や眼精疲労により頭痛等が生じ、読書などが続けられない程度のもの
「まぶたの運動障害」のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度のもの
「眼球の運動障害」のうち、麻痺性斜視で複視が強固のため片眼に眼帯をしないと生活ができないため、労働が制限されるもの
「瞳孔の障害」のうち、散瞳している状態で同行の対光反射の著しい障害により、まぶしさ(羞明)を訴え、労働に支障を来たす程度のもの

※両眼の調節機能および輻輳機能とは、物を見るために眼の焦点を合わせる機能。

※複視とは、物が二重に見える状態。

※散瞳とは、瞳孔が過度に拡大する現象。まぶしい光のもとでも瞳孔が過度に拡がっている状態。

眼の障害で障害年金申請を行う際の注意点

眼の障害は、徐々に視力や視野が低下していき、障害年金の申請を考え始めたころには初診日から相当な年月が過ぎていることがよくあります。

また、糖尿病が原因である「糖尿病性網膜症」等の場合には、糖尿病の初診日が障害年金申請上の初診日となりますので、初診日を証明できるかどうかがネックとなります。

カルテの保存期間が過ぎていて初診日が証明できないということもよくあるのです。

今後、視力が著しい低下をする可能性を医師から指摘されている場合や、網膜症などを引き起こす可能性のある糖尿病を発症してしまった場合には、初診日の証明書類(「受診状況等証明書」)をあらかじめ取得して置く、初診料の記載のある領収証などの書類を保管しておく、もしくは医療機関にカルテの保存を依頼しておく等、対応をしておくと良いかもしれません。

最後に

当記事をお読みいただいて、「自分の場合はどうだろう?」「まず何から始めたら良いだろう?」と思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、TAMA社労士事務所へご相談ください。

初回のご相談は無料です。

また、着手金1万円、医療機関に支払う診断書等の作成料(実費)、住民票等の取得料金(実費)以外はご相談者様が障害年金を受給できた場合のみ料金が発生する形になっています。

安心してご相談ください。

初回の相談は無料です。

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執筆者プロフィール

玉置 伸哉(社会保険労務士)

1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。

アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。

札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。

2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。

2019年2月、TAMA社労士事務所を開業。

障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。

また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。

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