障害年金の更新(障害状態確認届)ってどんなもの?

分岐点

障害年金を受給している方には、数年ごとに診断書を提出する義務があります。

受給している方の障害状態が障害年金の受給に該当しているかどうかを確認するためです。

診断書に記載された症状によっては、等級が変更されたり、支給停止いになったりということも起こります。

 

こちらの記事では、障害年金の更新について、実施時期や方法について書いていきます。

障害年金の更新の手順

ほとんどの障害年金を受給されている方は、数年おきに年金機構に診断書を提出する必要があります。

どのくらいの頻度で提出が必要になるかは病状等により変わってくるのですが、多くの場合1~5年に1度提出する必要があります。(有期認定)

障害年金を受給されている方のお誕生月(20歳前に初診日のある方は、更新年の7月)の前月下頃に「障害状態確認届」という診断書が届きます。

この診断書を医師に作成してもらい、お誕生月の末日までに年金機構や役所に提出する必要があります。

<更新時期の確認方法は>

①初めての更新の場合

障害年金の受給が決定した際に送られてきた「年金証書」を確認してみてください。

右下にある「次回診断書提出年月日」という欄に記載されています。

(「**年**月**日」となっている方は永久認定のため、更新の必要はありません。)

年金証書のよる次回診断書提出時期の確認方法

②2回目以降の更新の場合

前回の更新で障害年金の支給継続が決まった際に送られてきた「次回診断書の提出について(お知らせ)」というはがきに記載されています。

次回診断書の提出について(お知らせ)のよる次回診断書提出時期の確認

 

※もし、書類をなくしてしまい更新時期がわからない場合には、お近くの年金事務所もしくは年金ダイヤルに電話で確認してみてください。

<いつの時点の診断書が必要か>

必要になる診断書は、提出期限(誕生月の末日)の前1カ月以内の病状について記載された診断書です。

このため、誕生月に受診を行う必要が生じますので、事前に予約を取っておくなどの対応が必要です。

2019年8月以降提出分から更新用の診断書に記載してもらうべき期間が変更されます。

提出期限(誕生月の末日)の前1カ月以内 → 提出期限(誕生月の末日)の前3カ月以内

これに伴い、年金機構から診断書が届く時期も早くなります。(提出期限の3か月前の月の下旬に届く予定です。)

診断書が届いたら

更新の診断書の提出期限は、誕生月の末日です。

そのため、診断書が届いたときにはできるだけ早く、医師に作成を依頼する必要があります。

ただし、診断書の記載内容が病状を正確に記載したものでなければ、実際には病状が改善していないのにお関わらず等級が下がったり、年金が停止されてしまう可能性が出てきてしまいます。

そのため、診断書に病状を正確に反映してもらうことは非常に重要になります。

ここからは診断書を作成してもらう時に注意すべき点を書いていきます。

1.医師に日常生活で困っていること・できないことを詳しく伝えておく。

診断書を作成してもらう上で、日常生活上で困っていることやできないことを伝えておくことは非常に重要になります。

医師は患者さんと生活すべてをともにいるわけではありませんので、病状が普段の生活にどのような支障を与えているのかはご本人が伝えなければ正確には把握できません。

ですので、困っていることやできなくなってしまったことがあるのであれば、しっかりと医師に伝えておくことが大切です。

また、家族に身の回りのサポートをしてもらっていたり、福祉サービスを利用していたりする場合には、その旨も伝えておきましょう。

もし言葉で伝えるのが苦手であれば、メモにまとめて医師に渡すことで伝えるという手段も有効かと思います。

 

2.(働いている場合)医師に仕事内容や配慮や援助の内容を詳しく伝えておく

お仕事をしている場合、症状が軽く見られてしまう可能性があるため注意が必要です。

そのため、契約形態や仕事の内容などをしっかりと医師に伝え、診断書に反映して頂くことが必要になります。

例えば、以下のような内容です。

・一般企業なのか就労支援事業所なのか

・一般雇用なのか障害者雇用なのか

・フルタイムなのか短時間勤務なのか

・一般雇用の社員と同じ仕事内容なのか別の軽易な仕事内容

 

また、仕事上の配慮・援助を受けていれば、その内容についてもしっかりと診断書に書いてもらうとよいでしょう。たとえば以下のような内容です。

・家族の送迎で通勤している。

・体調不良の日には休んだり、午後出勤をしたりできる。

・公共交通機関を使えないのでマイカー勤務を特別に許可されている。

・通院休暇がある。

 

さらに、仕事上の支障についても可能な限り記載してもらいましょう。例えば以下のようなことです。

・作業の手順をきちんと理解できず、作業を間違ってしまうことが多い。

・顧客対応の際に相手の言葉に集中できずに怒られることが多い。

 

診断書を作成してもらったら~必ず内容を確認~

診断書を作成してもらったら、すぐに年金機構に送付してしまう方も多いようですが、必ず送付する前に診断書の内容を確認しましょう。

必要な箇所がすべて埋まっているか、日常生活での支障、仕事の内容や支障などがきちんと記載されているかを確認しましょう。

更新に際しては、請求者自身が作成する「病歴就労状況等申立書」を添付しませんので、日常生活や仕事のことを審査機関に伝えるには診断書にしっかり反映してもらう必要があります。

もし不足している情報や実態と違う情報があった場合には、医師に相談をしてみるもの良いでしょう。

 

また、次回の更新の際の診断書との比較に使用することが出来るように、コピーを取って保管しておくことをお勧めします。

 

<診断書が封筒に入っており「緘」等の印鑑が押されている場合>

記載内容の確認のため、開封しても問題はありません。

ただし、がん等の傷病である場合、余命やステージなどの記載がされている場合がありますので、開封にはそれなりの覚悟が必要になるかもしれません。

 

診断書の提出先は

制度によって、以下のように分かれています。

〇障害基礎年金 → お住いの市区町村役場の国民年金課

〇障害厚生年金 → 日本年金機構

 

大切な書類ですので、送付する際には追跡が可能な書留等で送付することをお勧めします。

 

<提出期限に間に合わない場合>

必ず事前に日本年金機構に連絡を入れましょう。

 

審査にかかる時間はおおよそ3か月

審査の結果は、提出期限の月からおおよそ3カ月が経過した頃にハガキまたは文書で通知されます。

ここでは審査の結果別に見ていきましょう。

①更新前と同じ等級と認められた場合

審査の結果、更新前と同じ等級と認められた場合には「次回診断書の提出について(お知らせ)」というハガキが届きます。

次回の診断書提出時期を確認するために必要になりますので、必ず保管しておいてください。

②審査の結果、等級が上がった場合

審査の結果、等級が上がった場合には「支給額変更通知書」という書類が届きます。

年金の金額は、誕生月の翌月分から増額変更になります。

すでに支給されてしまっていた分がある場合には、後日差額が支払われるなどの調整が行われます。

 

「支給額変更通知書」の中には次回診断書の提出期限が記載されていますので、失くさないように保管してください。

③審査の結果、等級が下がった場合

審査の結果、等級が下がってしまった場合には「支給額変更通知書」という書類が届きます。

年金の金額は、提出期限月の4か月後の月の分から減額変更されます。

すでに減額前の金額で支払いが行われていた場合には、次の支給日の分からに過払い分を減額されます。

 

もしもこの結果に不服がある場合には「審査請求」という手続きを行うことにより、もう一度審査をしてもらうことも可能です。

また、等級が下がってしまった以降に障害状態に増悪があった場合、額の改定請求という等級の変更を求める手続きをすることも可能です。ただし、等級が下がることにつながった更新の月の1日から1年が経過した日以降にしかこの額改定請求の手続きを行うことはできません。

④審査の結果、不支給となった場合

審査の結果、支給停止となってしまった場合、「支給停止のお知らせ」という書類が届きます。

この場合、提出期限月の4か月後の月の分から年金の支給が停止となります。

 

支給停止となったことに対して不服がある場合には、上記③と同様に「審査請求」を行うことが出来ます。

支給停止と決定したことについて再度審査してもらうことが可能です。

また、更新日以降に病状が悪化してしまった場合には「支給停止事由消滅届」という書類とともに診断書を提出することにより、支給の再開を求める手続きが可能です。

 

最後に

今回は、障害年金の更新の手順や注意点などについて記載しました。

障害年金の更新は、診断書1枚で障害年金をもらい続けることが出来るかどうかが決まってしまいます。

この記事でお読みいただいた内容を参考に、不備のない更新を行ってもらえたら幸いです。

 

「診断書の内容チェックを一緒にやってほしい」などのご要望がございましたら、ぜひ一度TAMA社労士事務所へご相談ください。

更新のお手伝いも障害年金の受給が継続できた場合のみ料金が発生する形で行っています。

(更新の結果、年金の継続が決定した場合の報酬は年金の1か月分です。等級が上がった場合は増額後年金額の1か月分、等級が下がった場合には減額後年金額の1か月分です。)

安心してご相談ください。

電話でのお問い合わせはこちらメールでのお問い合わせはこちら

執筆者プロフィール

玉置 伸哉(社会保険労務士)

1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。

アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。

札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。

2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。

2019年2月、TAMA社労士事務所開業。

障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。

また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。

詳しいプロフィールはこちらから