ご自身で申請する場合に注意すべきポイント
こちらの記事は令和2年2月13日に追記を行いました。
無料相談でよく頂く質問に「社労士に頼むとお金がかかるから自分でやりたい。気をつけるべき点はどこですか?」というものがあります。
こちらの質問への回答していきます。
もくじ
注意してほしいこと
ご依頼頂いてないからといって適当なことを書くわけにはいかないので。
たくさんあるうち、本当に最低限気を付けてほしいことを書きます。
①初診日の大切さをしっかり理解してほしい。
障害年金の請求上、初診日は非常に大切になります。
初診日を起点として年金保険料の納付月数が足りているか(要は請求する権利があるのか)を判断しますし、請求権が生まれる日(障害認定日)も初診日をもとに決定します。
もちろん、「1つの医療機関にしかかかっていない」とか「(診断書や紹介状等の)医証があるから大丈夫」という方には不要なアドバイスかもしれませんが、それでも「初診日を軽く見ないでほしい」と何度でも言いたいのです。
よく陥るパターンが2つあります。
(1)関係ないと思っていた医療機関が初診日になってしまう
精神疾患や発達障害の方の請求でよく聞くパターンです。
ある朝起きたら、倦怠感がすごく頭痛もする、熱はない。ご飯を食べる気にもなれないし、何もする気が起きなくて会社へも行けない。
そんな時、初めに行く病院はどこでしょうか?
「内科」と回答される方が多いのではないでしょうか。
もし、この診察の際に
・「うつ病かもしれないから精神科に行ってみては?」というアドバイスを受けた
・最初は「風邪」の診断だったが数日たっても改善しないので、もう一度受診した際に精神科受診を進めるアドバイスを受けた
という方が、精神科で「うつ病」の診断を受けた場合、最初にかかった内科が初診日になる可能性が高いのです。
また、精神疾患以外でも、最初に受診した医療機関で「○○病の疑い」という診断を受けて、次の医療機関で「○○病」の確定診断を受けた場合には「疑い」を見つけた医療機関が初診日になる可能性が高いです。
このように、初診日だと思っている医療機関以前に受診した医療機関が初診日になるパターンがありますので、注意が必要です。
(2)あいまいな記憶で話した内容が初診日になってしまう
障害年金の請求をしようとした場合、最初に相談に行く場所は年金事務所です。
(もちろんその前に社労士に相談して頂いても構いません。)
この時、年金事務所の職員さんと話した内容は全国の年金事務所で見ることのできるデータとして保存されます。
この時に注意してほしいのは、あいまいな記憶で話をしないこと。
時々耳をするのが次のようなパターンです。
「〇歳くらいの時に△△市の◆◆病院にかかったような気がする」という曖昧な記憶をもとに年金事務所に相談。◆◆病院が初診日として障害年金の請求を進めていった方が、◆◆病院の初診日を証明できずに請求を諦めた。 しかし、当時を知る人(親や親せき、兄弟姉妹等)に聞いたところ、その病院に受診した事実はなかったことが後日わかった。 そのため、本来の初診日を初診として障害年金の請求を進めたが、年金事務所のデータに「◆◆病院が初診」というデータが残っていたため、不支給の決定を受けた。 |
この場合、「◆◆病院にかかっていなかったこと」を証明する必要が生じます。
初診日を証明することももちろん大変なのですが、「受診していなかったこと」を証明することも予想以上に難しいのです。
私が過去にお手伝いなさった方でもこのようなケースの方がいらっしゃいました。
その方の場合、上の例の◆◆病院にあたる医療機関が以下を証明してくださったことで、「受診していなかったこと」を証明できました。
・創設以来一度もカルテの廃棄をしたことがないこと
・その方の受診歴が一切存在しないこと
特に「創設以来一度もカルテを廃棄したことがない」という点が証拠として強かったと思います。
カルテの保存期間は本来5年間。すべてが残っていたというのはレアなケースかと思います。
曖昧な発言が原因で障害年金の請求ができなかったというケースもありますので、ぜひきっちりと記憶を整理した上で、年金事務所に相談に行ってほしいと思います。
もう一度言っておきますが、年金事務所で相談する際には、決して嘘をつかず真実だけを話してほしいです。
その点だけは絶対に守ってほしいと思います。
②書類は穴が開くほどしっかり確認してほしい
障害年金の請求は、書類審査です。書類のみで障害年金を受給できるかどうかが決まります。
どんなに病状が重たい状態で生活や仕事に支障を与えていたとしても、書類からそのことがわからなければ障害年金は支給されない(もしくは、実態よりも低い等級になってしまう)のです。
各書類ごとに注意してほしい点を書いていきます。
(1)受診状況等証明書
初診日を証明してもらうため、初めてかかった医療機関に作成してもらう書類です。
この中に、例えば「前医より紹介で」「以前◆◆病院に受診しており」等の記載はないでしょうか?
ご自身が初診日だと考えていた病院が実は初診ではなかったことが、こちらの書類から判明することもありますので、今一度確認してみてください。
(2)診断書
ご自身の症状はきちんと反映されているでしょうか?
障害年金の診断書には、日常生活について記載する部分があります。
精神疾患なら「ご飯を食べることができているか」「入浴等の清潔保持ができているか」等、肢体障害なら「階段を上るときに手すりをどの程度必要とするか」「歩くときにどのくらい支障があるか」等を記載する項目があるのです。
ですが、お医者様は患者さんの日常生活の現場を直接は見ていません。
日頃から、自身の日常生活について、どのような支障があるのか、どのようなことに苦労しているのか、などのきちんと医師に伝えておくことだけでなく、診断書上にきちんと反映されているかを確認することも大切です。
実態とは違う点があった場合には、医師に相談することも必要かと思います。
ただし、「あくまで相談をする」であり、無理矢理に変更を迫ったり事実と異なることを記載してもらったりすることは絶対にやめてください。
(3)病歴就労状況等申立書
ご自身で、自身の病歴をまとめる書類です。
注意してほしい点は何より、嘘を書かないこと。絶対にやめましょう。
記載上の注意点については、こちらの記事で確認してみてください。
書ききれない…
まだまだ注意してほしいことはあるのですが、膨大になってしまうのでここで書ききることはできません。
ですので、ご自身で申請をされる場合にはできるだけたくさんの情報を集めて、慎重に進めていってもらえればともいます。
社労士に頼んでほしいパターン
最後に、どういう場合に社労士に頼んでほしいか、を。
①制度が理解できない場合
障害年金の制度は複雑だとよく言われていますが、実際には制度自体はそんなに複雑ではありません。
ただし、多くの傷病名が対象となり、同じ病名でも人によって症状や病歴も違うため、必要な書類の種類や枚数、制度のどのような部分に注意が必要なのか、等々がケースバイケースであるため、ケースによってはものすごく複雑になることもあることも事実です。
年金事務所で説明を聞いた結果、「制度が理解できなかった」「難しくてどうしたら良いか分からなかった」という場合、そして、この記事を読んだけどやっぱり理解できないという場合、複雑なパターンに該当している可能性が高いのではないかと思います。
早い段階で社労士に相談してみるのが良いかもしれません。
②初診日が見つからない場合
いくら探しても初診日が見つからない、いくつか初診日候補があるがどこを初診日にしたら良いか判断できない、という悩みをお持ちの方も社労士に相談することをお勧めします。
初診日が確定しないと何も始まらないです。
また、初診日が証明できない場合、障害年金は受給できないパターンも多いですから、早い段階で受給可否をはっきりさせて受給できないなら他の支援制度を検討することに時間を使う方が良いと思います。
最後に
初めてこの電話を頂いたときは正直、「それを社労士に聞くのですか?」と心の中でツッコみました。
でも、社労士に支払う報酬は決して安いものではないし、インターネットを見れば「自分で申請して年金をもらっている」という方のブログも目にします。
余計なお金をかけずに自分でやりたいという気持ちも十分わかるので、最低限気を付けてほしいことをまとめてみました。
もし、ご自身で手続きを進める中で、壁に当たってしまった場合にはぜひ一度お気軽にご相談ください。
専門家として全力でサポートさせていただきます。
初回のご相談は無料です。
また、着手金1万円、医療機関に支払う診断書等の作成料(実費)、戸籍謄本等の取得料金(実費)以外はご相談者様が障害年金を受給できた場合のみ料金が発生する形になっています。
安心してご相談ください。
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執筆者プロフィール 玉置 伸哉(社会保険労務士) 1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。 アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。 札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。 2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。 2019年2月、障害年金専門のTAMA社労士事務所を開業。 障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。 また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を 積極的に行っています。 |