障害年金を申請する上での3つのポイントを1つ1つ詳しく説明していきます。
まずは1つ目「初診日要件」です。
もう一度要件を確認します。
初診日において被保険者であること(初診日要件) その障害の初診日において、国民年金、厚生年金、旧共済年金の被保険者であることが条件になります。 国民年金・・・20〜60歳の国民年金被保険者(60〜64歳は国内在住の方が対象) 厚生年金・・・社会保険加入者の方 ※厚生年金の扶養に入られている方(3号被保険者)は「国民年金の被保険者」です。 ※初診日が20歳未満時点の方は「国民年金の被保険者」として扱われ、20歳到達後にお手続きを行います。 |
なぜ初診日が重要なのか?
では、なぜ初診日が重要なのでしょうか?その理由は2つあります。
1、どの年金制度に基づく障害年金を支給すべきかは初診日で決まる
障害年金には、国民年金法による障害基礎年金、厚生年金保険法による障害厚生年金があります。(平成27年9月までは各種共済組合法による障害共済年金もありました。)
上記のうち「どの種類の年金をもらえるのか」は初診日時点でどの年金制度に加入していたかによって決まるのです。
例えば、初診日の時点で一般企業で就業しており厚生年金に加入していた場合、その障害により請求するのは障害厚生年金となります。
同様に、初診日時点で個人事業主などで国民年金に加入していた場合は、その障害により請求するのは障害基礎年金になります。
初診日がわからない場合、どの年金制度から障害年金を支給したら良いのか判別できないため、障害年金は原則もらえません。
厳しいようにも思えますが、原則ダメなのです。
例えば、20歳から現在までに、
❶国民年金加入できちんと納付している時期
❷公務員として共済年金に加入していた時期
❸会社員として厚生年金に加入していた時期
が混ざっている方がいたとします。
この方の初診日が証明できない場合、どの年金制度から障害年金を支給したら良いのか判別できません。
仮に、初診日の証明が不要なんていうことにしてしまうと、
金額的に一番有利な年金制度加入中に初診日があることにして年金を受給する、というズルいことができてしまうのです。
そんなズルを許さないためにも、初診日の証明が必要となります。
2、年金保険料の納付要件は初診日を基準に計算する
初診日証明が重要な理由の2つ目は「年金保険料の納付要件は初診日を基準に計算する」からです。
障害年金を申請するためには
「年金保険料を納めなければいけない月数のうち3分の2以上を納付していること」
もしくは
「初診日があった月の前々月から前1年間、年金保険料を納付していること」
が求められます。
これらの納付要件を見るときの起算点として、初診日を使います。
要は20歳から初診日(の前々月)までに3分の2以上納付しているか、初診日があった月の前々月から前1年間、年金保険料を納付しているかを見るのです。
これを見て、納付が足りていない場合、障害年金の申請はできません。
そもそも、初診日が証明できない場合、20歳からいつまでの納付状況を見れば良いのか判別できないため、障害年金は支給されません。
初診日で注意したいポイント
●精神疾患で初めて精神科にかかった日より前に、同じ症状(頭痛や不眠など)で内科など他の科に受診されていませんか?
ご相談いただく方に初診日をお聞きすると、「○年○月○日」とすぐに回答してくださることが多いです。
とてもありがたいことなのですが、こちらから上記の質問をすると
「精神科に掛かるのはハードルが高く感じちゃって、まずはかかりつけの内科に行ったんだよね。」
「不眠症状が酷かったから、精神科に行く数週間前に不眠症専門の○○科にかかったの」
という返答をいただきます。
この場合の初診日は「精神科に初めてかかった日」ではなく、その前の「他の科の医療機関に初めてかかった日」になる可能性が非常に高いです。
この場合、精神科のカルテは残っているんだけど、その前にかかった医療機関のカルテはすでに廃棄されていたりすると厄介です。初診の証明ができなくなります。
また、その医療機関がどこだったか忘れてしまっている方も時々いらっしゃるので、その場合はまず病院を探す→カルテの有無の確認という手順で調査を行っていく必要があります。
精神疾患だけではありません。難病の初診日証明でも似たケースがあります。
難病です。
原因不明の身体の不調が継続しているが、何科にかかっていいものかわからないので、とりあえず近くのクリニックに行ってみた。しかし、原因はわからずに大きい病院を紹介された。
大きい病院では色々な科をたらい回しにされ、あらゆる検査をしたが、原因不明のまま、さらに大きな医療機関を紹介された。
さらに大きな医療機関から次の大きな医療機関………と転々とし、2年の月日が経過。
たまたま、その難病に強い医師がいる病院にたどり着いて、初めて診断名がついた、なんてこともよくあります。
この場合の初診日は一番最初にかかった近くのクリニックになります。
診断もできないし、原因もわからない。でも、ここが初診日になるのです。
なぜなら、すでに症状が出ており、その症状は難病によるものだったのであれば、このクリニックが「その障害の原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日」となるためです。
怖い話をすると、最初に受診したクリニックで別の病名だと誤診されてしまった場合でも、その日が初診日になります。
誤診されたまま通院を続け、全然効かない治療を継続される。考えただけで悲しいストーリーです。
他の傷病でもこの落とし穴にはまるケースはよくあります。
以上のことを読んでいただいて、どうでしょうか?
あなたが初診日だと思っている年月日は本当に初診日でしょうか?
今一度ご確認をお勧めします。
初回相談は無料です。
もし「あっ、初診日が思っていた年月日と違う。どうしよう。」とか「精神科の前に行った病院のカルテ、もうないよ…。」と思われた方、簡単に諦めずに、ぜひ一度、障害年金専門のTAMA社労士事務所にご相談ください。
初回相談は無料。着手金を除き、報酬は障害年金を受給できた場合のみ発生する方式となっておりますので、お気軽にご相談ください。
障害年金に関する相談は初回無料で行っております。お気軽にご相談ください。 |
執筆者プロフィール 玉置 伸哉(社会保険労務士) アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。 札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。 2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。 2019年2月、障害年金専門のTAMA社労士事務所を開業。 障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。 また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。 詳しいプロフィールはこちらから |