透析

前回の記事(障害年金がもらえる状態とは(糖尿病の場合))でも書きましたが、現在、日本人のうち300万人ほどが糖尿病により医療機関にかかっており、糖尿病の疑いが否定できない”糖尿病予備軍”も1,000万人以上いるといわれています。

糖尿病が進行した結果、糖尿病性腎症や慢性腎炎などの腎疾患による腎不全につながってしまうことも考えられます。

 

この記事では、腎疾患を患ってしまった場合、どのような状態になったときに障害年金を受給できるのか「障害状態要件」について解説していきます。

(障害年金の3大要件「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」の確認はこちらから)

障害認定基準

糖尿病で障害年金を受給する場合の基準として、「国民年金・厚生年金 障害認定基準」(全文はこちら)の腎疾患による障害の基準には以下のように書かれてます。

障害の程度

障害の状態

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることがを不能ならしめる程度のもの

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級

身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

認定要領~認定のされ方~

腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療および病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況などにより、総合的に認定するものとされています。

各等級に該当すると認められる状態としては以下のように例示されています。

障害の程度

障害の状態

1級

下記①の検査成績が高度以異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

1.下記①の検査成績が中等度または高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエまたはウに該当するもの

2.人工透析療法施行中のもの

3級

1.下記①の検査成績が軽度、中等度または高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウまたはイに該当するもの

2.下記②の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イまたはウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウまたはイに該当するもの

<① 慢性腎不全の検査成績>

区分

検査項目

単位

軽度異常

中等度異常

高度異常

内因性クレアチニン クリアランス

ml/分

20以上30未満

10以上20未満

10未満

血清クレアチニン

mg/dl

3以上5未満

5以上8未満

8以上

(注)eGFRが記載されていれば、血清クレアチニンの異常に替えて、eGFR(単位はml/分/1.73㎡)が10以上20未満の時は軽度異常、10未満の時は中等度異常と扱うことも可能。

<②ネフローゼ症候群の検査成績>

区分

検査項目

単位

異常

尿蛋白量(1日尿蛋白量または尿蛋白/尿クレアチニン比)

g/日またはg/gCr

3.5以上を持続する

血清アルブミン(BCG法)

g/dl

3.0以下

血清総蛋白

g/dl

6.0以下

<一般状態区分表>

区分

一般状態

無症状で社会活動ができ、制限を加えることなく、発病前と同等にふるまえるもの

軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働やざ行はできるもの

例えば、軽い家事、事務など

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、二中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

この一般状態区分表は診断書の中に記載されており、腎疾患が日常生活・就労に与える支障を判断する項目として、重視されています。

人工透析は2級。でも…

上記の表にもある通り、人工透析を施行中の方は原則2級に認定されることとなっています。

これまでも多くの方から「人工透析が始まったから確実に障害年金を受給できるんですよね?」というご相談を頂きました。

が、そう簡単には事は運ばず、受給できないことも多いのです。

大きな壁として立ちはだかるのが「初診日要件」(障害年金の3大要件はこちら)です。

この初診日要件も含め、腎疾患での障害年金申請で注意すべき点を以下にまとめていきます。

腎疾患による申請で気をつけるべき点

①何よりも初診日!

糖尿病の申請で気をつけるべき点としても上げましたが、やはり初診日が非常に重要になります。

 

多くの場合、腎疾患での障害年金申請を行う場合の初診日はその腎疾患の原因になった疾患を発症して初めて医療機関にかかった日になります。

その初診日から、腎疾患で障害年金の基準に該当する症状に至るまでの間に相当程度の時間がかかります。そのため、いざ障害年金の申請を行おうと考えた時に、すでに医療機関がカルテを廃棄していたり、医療機関が廃業していたりして、初診日を証明できないということも多くあります。

また、Ⅰ型糖尿病が原因の場合には若年期に発症される方も多く、20歳を迎えて障害年金の申請を行えるようになった時点で、初診の医療機関がカルテを廃棄していたり、最悪の場合には廃院していたりして、初診日を証明できないということも起こりえます。

 

過去の事例として多いのは、糖尿病から糖尿病性腎症や腎不全へと進行して人工透析を開始したため、いざ障害年金を申請しようとしたが、初診日の証明書類が準備できなかったために障害年金の申請を諦めたというケースです。

上の認定要領の表にもありますが、人工透析施行中の方は原則「2級」と認定されることになっています。

ですから、初診日が証明できないがために障害年金を受給できないという事態を避けるためにも、糖尿病だと診断され食事療法や運動療法等を始めた時点で、初診日の証明をできる書類を取得しておくと良いでしょう。

たとえ、その後の経過が良く障害年金を申請せずに済んだとしても、転ばぬ先の杖として取得しておくと良いのではないかと個人的には考えております。

※初診日が証明できない場合の対処法はこちらの記事でご確認ください。

②病歴就労状況等申立書はしっかりと書く

状況等申立書を作成するときに、私が個人的に大切にしているポイントを挙げていきたいと思います。

ⅰ.治療の内容は詳細に書く。

治療の内容はできるだけ詳細に記載します。

腎疾患で障害年金の等級に該当する症状が顕著に現れるまでには、相当に長い年月がかかることがほとんどです。

最初は自覚症状のない期間が長く続きますが、病歴就労状況等申立書にはその間のことについても記載する必要があります。

そして、いつ頃から倦怠感や易疲労感、口の渇き等の症状が発現したか等の経過を詳しく書いていく必要があります。

また、食事療法や運動療法の内容や、医師からどのような指導を受けていたかなども記載しておくと良いでしょう。

ⅱ.日常生活における支障・困っていることを詳細に書く。

腎疾患の症状が日常生活にどのような支障を与えているかを具体的に記載しましょう。

また、人工透析を施行中の方であれば、透析の頻度や1度にかかる時間などを書き、日常生活や仕事に与えている影響についても詳しく書くと良いと思います。

ⅲ.最も重要なのは診断書との整合性

最後に最も重要なこと。それは、診断書との整合性です。

たとえば、診断書の一般状態区分表がイになっている方が、病歴就労状況等申立書に「一日の半分以上起きていられない」と書いたとします。

おそらく、病歴就労状況等申立書に書いた内容は、審査に反映されないでしょう。

ですから、診断書の内容と病歴就労状況等申立書の内容を照らし合わせて、しっかりと確認する必要があります。

実際に日常生活に起こっている支障と診断書の記載内容との間に相違がある場合には、診断書を作成した医師に相談する等の対応が必要になるでしょう。

最後に

人工透析で障害年金を請求する場合、とにかく初診日がネックになってきます。

相当因果関係のある疾病(糖尿病等)での初診日が10年~20年ということはよくあることで、ほとんどの場合はカルテが廃棄されており、証明することが出来ません。

私共としても、初診日が証明できない場合にはあらゆる代替案を尽くします。

それでもダメな場合には障害年金の請求を断念するという決断をせざるを得ないことも多いのがこの腎疾患での障害年金申請です。

 

早い段階で初診日の証明書類を取っておく、領収書等の書類を捨てない等の対処をしておいていただければ、たとえカルテが廃棄された後でも障害年金の請求につなぐことが出来る可能性が高くなります。

ぜひ対応してておいていただけたらと思います。

 

こちらの内容をお読みいただいた方で、「初診日が見つからない」「病歴就労状況等申立書づくりが不安」「仕事があるので年金事務所になかなか行けない」等のお悩みがございましたら、ぜひ一度、北海道障害年金相談センターにご相談いただければと思います。

ご来所頂くのが難しい場合には、電話・メール・郵送のみで進める方法もお選び頂けます。

※出張による対応は別途交通費実費と日当を頂いております。

初回のご相談は無料です。

また、着手金1万円、医療機関に支払う診断書等の作成料(実費)、住民票等の取得料金(実費)以外は成功報酬制(ご相談者様が障害年金を受給できた場合のみ料金が発生する形)になっています。

安心してご相談ください。

初回の相談は無料です。

電話でのお問い合わせはこちらメールでのお問い合わせはこちら

※病院同行や年金事務所での手続き等による外出が多いため、メールでのお問い合わせがオススメです。

執筆者プロフィール

玉置 伸哉(社会保険労務士)

1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。

アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。

札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。

2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。

2019年2月、北海道障害年金相談センター開設。(TAMA社労士事務所開業)

障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。

また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。

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