血糖値

ご相談者様

年齢層:50歳代

性 別:男性

地 域:札幌市

傷病名:慢性腎不全(人工透析施行中)

結 果:障害厚生年金2級(5年さかのぼり)

 

簡単な病歴

当時勤めていた会社の健康診断で「血糖値が高く糖尿病の疑いがある」と指摘をされた。

後日、A病院で精密検査を受けたところ「食事に気を付ければ治療の必要は無い」といわれ、受診終了となった。

受診終了後、特に食事に気を付けることもなく、これまで通りの生活をつづけた。

この間、高温の場所での肉体労働や倉庫での重い荷物を運ぶ仕事など約7年間就労。

ある日、倉庫作業で使用する物品リストの文字がぼやけて見づらく感じた。

日に日に状態が悪化するため、B眼科クリニックに受診したところ「糖尿病性網膜症」と診断され、治療を開始。

同時並行で糖尿病の治療が必要と判断され、C内科クリニックにも受診。食事療法や運動療法を開始するも効果はなく、インシュリン注射を開始。

しかし、この頃会社を退職したことから病院代の工面が難しくなり、受診を止めた。

2~3か月ほどは残っていた薬で治療を継続したが、残薬が無くなった後は何も治療をせずに過ごした。

見る見るうちに下半身に水が溜まり、体重は40kg増加。

歩行が困難になり「このままではまずい」と感じたため、D病院に受診。

即日、集中治療室に入院。

1週間後シャントを造設し、人工透析を開始した。

現在まで、週3回の人工透析を継続している。

 

ご相談から請求まで

ご本人様からご相談を頂きました。

当初、ご本人様は健康診断の後に受診したA病院を初診日とした請求を計画されておりました。

(D病院のカルテにも「9年前頃、A病院に初診(本人から聞き取り)」と書かれており、A病院の初診を証明しないとどうにもならない状況になっていました。)

しかし、すでにカルテが廃棄されており初診日の証明ができず、苦慮されておりました。

 

ご相談の際に詳しく病歴をお聞きすると以下のことが分かったため、A病院終診からB病院受診までの間に一度傷病が治ったと捉え(「社会的治癒」といいます。)、B眼科クリニックを初診とする方法で手続きをすることにしました。

①A病院では治療を一切受けておらず、検査のみだった。

②A病院終診からB眼科クリニック受診までの間、一切の自覚症状が無かった。

③A病院終診からB眼科クリニック受診までの間、厚生年金に加入し重労働を行っていた。

 

早速、B眼科クリニックから初診日の証明を取得。

その後、現在の診断書および初診日から1年6か月後の診断書の作成をD病院に依頼。

診断書ができるまでの間に、A病院からの病歴を書いた病歴就労状況等申立書を作成。

完成した診断書の情報から病歴就労状況等申立書に情報を足した上で、年金事務所に提出しました。

相談から請求までに要した時間

初診日の証明作成期間(2週間)+診断書作成期間(1か月)+1か月程度でした。

請求の結果

無事にB眼科クリニックが初診として認められました。

障害厚生年金2級と認められ、年間およそ110万円の受給が決まりました。

また、さかのぼり分も2級で認められ、およそ550万円(5年分)も支給されました。

 

この事例の特徴

こちらの事例の特徴は「社会的治癒」が認められたことで、初診日がA病院からB眼科クリニックに変更となった点です。

社会的治癒とは

社会保険において「社会的治癒」は以下のように定義されています。

”症状が社会復帰(通常の日常生活)可能な状態となり、かつ、原則として治療や投薬を必要としない期間が数年単位で継続すること”

障害年金の制度では、傷病がいったん(医学的に)治癒し再発した場合には、再発後に初めて医療機関に受診した日が初診日として扱うという考え方があります。

「社会的治癒」はこれに準じた考え方で、医学的な治癒はしていないものの「社会的には治癒している」状態であると認められる場合には、再発後初めて医療機関に受診した日を初診日として扱われることになります。

つまり、社会的治癒が認めれた場合、障害年金請求上の初診日が変更になるのです。

ちなみに、社会的治癒が認められるためにどのくらいの時間を要するかは、具体的に決められていません。

おおむね5年程度が目安とされていますが、病名や症状などにより総合的に判断されるため、ケースバイケースです。

 

最後に

こちらの事例をお読みいただき、「自分の場合はど該当するだろうか?」「自分で申請を行うのは不安なので、サポートを検討したい」と思われた方は是非一度、TAMA社労士事務所にご相談ください。

ご体調に合わせて、郵送とメール(ときどき電話)でのやりとりのみで、手続きを代行することも可能です。

初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール

玉置 伸哉(社会保険労務士)

1982年生。八雲町生まれ旭川市育ちの生粋の道産子。

アルバイト時代の仲間が、就職した会社でパワハラ・セクハラ・給与未払いなどの仕打ちを受けた挙句に身体を壊したことをきっかけに社会保険労務士を目指す。

札幌市内の社会保険労務士事務所で7年間従事、うち6年間を障害年金の相談専門の職員として経験を積み2018年4月に退職。

2018年8月に社労士試験を受験(6回目)し、同年11月に合格。

2019年2月、札幌市中央区でTAMA社労士事務所を開業。

障害年金に特化した社会保険労務士として、障害年金請求のサポートを日々行っております。

北海道内全域を対応地域としておりますので、お気軽にご相談いただきましたらうれしいです。

また、就労支援事業所様等において「30分でざっくり覚える障害年金講座」「障害年金出張相談会」を積極的に行っています。

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